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朝日新聞社主催の軽飛行機設計コンテスト冊子について

 ヤフーオークションで記事タイトルの品を落札しましたので、内容をシェアしたく思います。内容の説明は簡潔に行いますので、詳しい内容はスキャンデータをご覧ください。 冊子スキャンデータ 以下の冊子スキャンデータのリンクを示します。 軽飛行機設計応募の要項 冊子の内容 冊子の目次は 純国産軽飛行機の設計を募集 魅力ある軽飛行機・・・山名正夫 われらの翼を世界へ・・・佐貫亦男 軽飛行機設計応募の手引き エンジンの説明 用語解説 飛行機・実用U類とは くるか空中ドライブ時代 低速やさしい操縦 各種軽飛行機の紹介 [折込]世界の代表的小型軽飛行機要目一覧表 以下に各章の内容を簡潔に説明します。 純国産軽飛行機の設計を募集 この章では、募集期日と賞金、当時の日本で軽飛行機を設計、製造し輸出する意義について書かれています。審査委員には現在でも有名な方々の名前が見られます。 軽飛行機設計応募の手引き どのような軽飛行機が今回の応募で求められているか、どんなエンジンを使用するか、求めれらる耐空区分は何かについて書かれています。注目するべきは、HONDAが当時計画していたとされる倒立V8エンジンの使用が設計要求に取り入れられている点です。このエンジンが実際にHONDAで開発されたのかは不明ですが、HONDAが軽飛行機開発を当時から視野に入れていたことが伺えます。 くるか空中ドライブ時代 日本で軽飛行機を普及するにはどうするか、についてのコラムが書かれています。約60年前とは交通事情は異なる点はありますが、参考になる部分もあるかと思います。 各種軽飛行機の紹介 当時の海外製100馬力以下の軽飛行機について紹介されています。これは応募者が設計の参考に出来るよう掲載されたと思われます。

航空機の設計について3;概念設計その2

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記事の説明  この記事シリーズは、航空機の専門書として有名な"Aircraft Design  A Systems Engineering Approach"の中で、整理したい箇所をまとめた備忘録です。機体の設計について学んでいると「この計算は設計のどの段階で行うものなのか?」と迷うことがあります。このような自分の為に整理したメモをこのシリーズで書いていきます。 この記事は第3章の内容を参考にしています。 目次 機体構成の選択とトレードオフ 前回の記事では、機体構成の選択肢について説明しました。選択肢が多くないといえ、要求に対し最適な構成を選択するにはある程度の指標が必要です。構成要素の採用したい良い点、出来るだけ抑え込みたい悪い点をバランスよく取り入れる為、トレードオフ分析が行われます。 トレードオフ分析の対象としては、前回記事で示したような要素だけでなく材料、製造プロセス、部品や材料の調達先まで及びます。このプロセスを模式図で示したものを下に示します。 この図の真ん中で示した(解析目標の設定~好ましい代替案)の推奨のプロセスで、設計案の中から選択が行われます。旅客機の設計では、この過程で多分野統合最適化:Multi-Disciplinary Optimization [MDO]が採用される事があります。MDOは、最適化手法を用いて、多くの分野を含む設計問題を解決する設計手法の一つです。各分野を逐次最適化して最適解を導く方法とは異なり、設計に含まれるすべての分野を関係性(本では相互作用)を考慮して設計する事が可能です。 B787で採用されたケース( エコな航空機を実現するための空力技術 )や、MRJ計画で採用されたケース( 環境適応型高性能小型航空機設計における~ )が存在します。 設計者の定める優先度 設計者は設計の過程において、様々な優先順位を持っています。これらの優先順位は、設計する機体に要求される仕様で変化します。優先度が変化する例を下の表で示します。 この優先度はこの本(Aircraft Design  A Systems Engineering Approach)の著者によって決められたものなので、あくまで一例として捉えてください。主に10項目で分けられており、製造コスト、性能、飛行性能、設計期間、美しさ(民

航空機の設計について2;概念設計その1

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記事の説明  この記事シリーズは、航空機の専門書として有名な"Aircraft Design  A Systems Engineering Approach"の中で、整理したい箇所をまとめた備忘録です。機体の設計について学んでいると「この計算は設計のどの段階で行うものなのか?」と迷うことがあります。このような自分の為に整理したメモをこのシリーズで書いていきます。 この記事は第3章の内容を参考にしています。 目次 機体の概念設計とは? 概念設計で得られるのは、主に機体の構成を表す三面図です。三面図を描くまでに様々な評価が行われるのですが、計算によるものは多くないはずです。機体の構成要素の選択(どのような主翼、胴体、尾翼、着陸装置、エンジンを採用するか?)が主な作業です。 機体の構成要素とその機能 構成要素を選択する前に、各要素の機能を知る必要があります。 1.主翼 主翼の主な機能は、「機体を空中に保つ為の揚力を発生させる」ことにあります。主翼では揚力が発生すると同時に、誘導抗力とピッチングモーメントも発生します。揚力、抗力を発生させる他に、機体の横方向(Roll軸回り)の安定性を決めています。 2.胴体 胴体の主な機能は、人や貨物等のペイロードを収容することにあります。尾翼が縦方向の安定性を維持出来るように、ある程度の長さが必要です。(機体に求められる要求で変化します)長さが足りない場合は、後方にブームを設ける必要があります。 3.水平尾翼 水平尾翼の主な機能は、機体の縦方向を安定させる事にあります。水平尾翼は水平安定板とエレベータの2つに分けられ、可動部であるエレベータを用いて縦方向の制御と操縦を行います。 4.垂直尾翼 垂直尾翼の主な役割は、機体の方向安定性を維持する事にあります。垂直尾翼は垂直安定板とラダーの2つに分けられ、可動部であるラダー(とエルロン)を用いて横方向の制御と操縦を行います。 5.エンジン エンジンは機体の推進力を発生させる為に搭載されます。洋書では「エンジンを設計」との言葉がありますが、正確には「既存のエンジンから選択」が正しいです。基本的には公開されているエンジンやモーターのスペックを基に選択していきます。エンジンを機体と同時、もしくは直前に開発する事が出来るメーカーなら「エンジンを開発」で良いとは

航空機の設計について1;設計の順番

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執筆の動機 この記事シリーズは、航空機の専門書として有名な"Aircraft Design  A Systems Engineering Approach"の中で、整理したい箇所をまとめた備忘録です。機体の設計について学んでいると「この計算は設計のどの段階で行うものなのか?」と迷うことがあります。このような自分の為に整理したメモをこのシリーズで書いていきます。 この記事は第2章の内容を参考にしています。 目次 大まかな設計・製作の手順 機体の設計・製作は大まかに5つの段階に分けられます。 機体の大まかな設計・製作の順序 実際には詳細設計から概念設計まで戻って設計をやり直すこともあります。設計で導き出された数値が最初の要求を満たしていなければ、戻って計算のやり直しを行います。下図のように詳細設計から概念設計に戻る前に、各段階で計算のやり直しを行うと手戻りが少なく済みます。 概念設計 概念設計は飛ばしたい機体の要望や要求を基に、機体の仕様を言語化していく手順です。ここでは機体の外形(外観)が決まります。決まるのは外形が主ですが、この段階で決めた内容で初期設計や詳細設計、機体の運用方法や性能が決まります。 初期設計 この記事では初期設計と呼んでいますが、"Primary Design"にはもっと良い翻訳が有るかもしれません。この段階で行うのは、概念設計で決めた外形やより具体的になった要望を基に機体に関する数値を決めていきます。例えば翼面積やエンジンの馬力(ジェットやロケットエンジンの場合は推力)等です。 ここの数値を決める際には過去に製作された機体の情報を参考にする場合もあります。 詳細設計 詳細設計では初期設計で決めた内容を基に、機体の構成部品を設計します。主桁の荷重計算やフランジの計算、胴体外板厚さの計算等がここに該当します。 まとめ 今回の記事の要点をまとめると 設計と製作の過程は大きく分けて5つに分けられる 設計の各段階では計算のやり直し(計算を回すとも言う)を行う 概念設計では、機体の要求を基に、機体の仕様を言語化 初期設計では、概念設計を基に機体に関する数値を決める 詳細設計では初期設計を基に、機体の構成部品をより細かく設計 次の記事では概念設計について説明します。

ワンオフで製作するラジコン飛行機用FRPカウル

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ラジコン飛行機用FRPカウルの製作 山本さん (https://twitter.com/YukiYamamoto511)と一緒に設計した機体にカウルを付けることになったのですが、そのカウルをFRPで製作したので過程を記載します。なお今回の製作はオス型とメス型を製作する方法でなく、ワンオフでオス型から製作する方法です。 目次 FRP製作に必要な材料の入手 FRPで何か製作するのは手間だと思いがちですが、材料と作業場所さえ揃えばそこまで難しくはありません。必要な材料や道具に関しては以下の通り。大体はホームセンターで揃うと思います。 型の製作に必要な材料と道具 スタイロフォーム 木工ボンド 割りばし 適当な木のブロック(2×4の切れ端でも可) 紙やすり FRPの成形物に必要な材料 FRP成形物用 手積用ポリエステル樹脂 ポリエステル硬化剤 FRP用離型剤 型製作用 ガラス繊維(クロス、マット) FRPの成形に必要な道具 ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜる容器  ハケ ローラー バケツ3つ アセトン 不要な段ボール 型の製作 成形物の形を決める型を製作する手順について説明します。 スタイロフォームの切り出し 具体的に大きさが決まっていない場合は、ブロックを機体に仮止めしつつブロックを切り出し、やすり掛けを行います。大きさが決まっている場合は、厚紙や木の板、アルミ板で型紙を製作して電熱カッターで切り出します。今回は大きさが決まっていたので、厚紙で型紙を切り出して電熱カッターで切り出し、やすりがけを行いました。 スタイロフォームの保護 スタイロフォームはポリエステル樹脂に溶かされるので、このまま積層すると狙い通りの形にはなりません。スタイロフォームが溶けないよう表面を何かで覆わなければなりません。今回は木工ボンドを選択しました。表面に木工ボンドを少量置き、指で薄く均して表面に膜を作ります。型の全面に塗ることを推奨します。 この方法は以下のサイトのやり方を参考にしました。 表面に木工ボンドを塗ったスタイロ型 簡単で安価なFRP型の作り方 簡単で安価なFRP型の作り方-その2 型を台に載せる ※ここは自分が失敗した箇所であるので、「こうすればよかった」という覚え書きになります。 製作した型の上にガラス繊維を積層するのですが、型に何も支えがないと積層作業が非常にや

これからどんな活動をしていくのか~その1~

今後の活動について;現在の設計と製作能力 これからどんな活動を行うかについて書き残すのですが、その前に自分の状態を把握しておきたいです。やりたい事に対して自分の能力不足というのは常にあるものです。どの程度足りないのか正しく認識する事で今後の方針も立てられます。 ラジコン飛行機に関するスキル 設計スキル 確実に飛ぶオーソドックスな固定翼機の概念設計ができる。 主翼の強度計算は参考資料を基に可能。それ以外の強度計算の資料はあるが習得していない。 主に電動機プロペラ機(発泡材、木製)を設計。 内部の構造や具体的な製作法まで理解している。分割翼には詳しくない。(アルミやカーボンのカンザシを挿入してテープ止め等) 製作スキル 発泡材を使用した機体製作は計5機製作し、慣れている。 木製機の製作経験は1機。コンポジット機の製作経験もなし。 飛行スキル アクロバット飛行以外ならば可。 実機に関するスキル 設計スキル 確実に飛ぶオーソドックスな固定翼機の概念設計ができる。 木造主翼の強度計算は参考資料を基に可能。それ以外の強度計算の資料はあるが習得していない。 主にプロペラ機を設計。 一部の金属製ホームビルド機とプライマリーグライダーの構造を理解している。それ以外の機体構造は把握しているが理解していない。 製作スキル 金属機(ホームビルド)製作に使用される工具の扱いを取得している(クレコ、リベット、金属ハサミ、ジンクロの塗装等) ホームビルド機の英文マニュアルは読める。 飛行スキル 実機の操縦は出来ない。 まとめ 実機(人が乗る機体)に対する経験がラジコンに比べてだいぶ少ないですね。部活でホームビル機の製作技能は少しづつ向上させていますが、詳細設計の能力はまだ不足しています。

片持ち先細翼の曲げモーメントについて(その1)

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 佐藤先生の論文解説シリーズの第1弾です。論文の式や内容を追いつつ、私のコメントを入れていくスタイルをとります。またオリジナルの本文は章立て等行われていないため、内容に応じて項目毎に分けて記載します。 掲載誌と発行時期 九州大学工学集報第26巻第3号 昭和28年10月3日受理 何について書いてあるのか? 内容 捩じり下げの無い翼に対して、翼スパンに沿う風圧荷重を均等であると仮定する。翼の直線区間と先細比を変化させたとき、曲げモーメントと剪断力はどう変化するのか? 得られる結果 翼の平面形において翼根からの直線距離が短いほど、翼根対して翼端が小さいほど、翼根の曲げモーメントは小さくなる。また、風圧荷重分布が楕円翼に近くなるような先細比と(翼平面形における)直線部の組み合わせが存在する。 本文解説 安全側になるような主翼強度の規定 論文の手法を紹介する前に、戦前の飛行機における強度規定について記載している。 「翼の断面形または取付角が翼幅に沿い変化しない翼、すなわち捩じりのない翼では、風圧分布は翼端部分で$t_m$(平均翼弦)の長さで$p_{0} k g / m^{2} $から$ep_0$に直線的に減るものとしてよい。減少率eは大迎角では0.8、小迎角では0.5」 この規定に関しては1940年頃の航空工学便覧にあるようです。この文章の通りに風圧分布のグラフを描くと以下のようになります。ここでは翼根の風圧を$p_{0}=1 k g / m^{2} $と仮においています。 なんだか違和感がありますね。このグラフの翼はアス比20の矩形翼の片翼についてです。翼端を1m、翼幅が20mの翼について文章通りに考えると、「平均翼弦1mの翼、片翼スパン10mの矩形翼であるとき、風圧分布は翼根から(平均翼弦である)1mずつ$e$の割合で減少する」と読めます。しかし「直線的に減るものとしてよい」という記述とも違うように見えます。 今度は翼根から翼端までの減少率が$e$の割合で減少するとして考えます。 こちらの方が自然に見えます。おそらくこのことを指していると思います。 以上の手法に対して、論文中では「翼幅に沿う風圧力$p_{0} k g / m^{2} $の分布を翼端現象のない均等なものと仮定して」計算しています。さらに、「直線平面形の先細、片持ち翼の翼幅に沿う各断面の剪断力、曲げモーメント