航空機の設計について1;設計の順番

執筆の動機

この記事シリーズは、航空機の専門書として有名な"Aircraft Design  A Systems Engineering Approach"の中で、整理したい箇所をまとめた備忘録です。機体の設計について学んでいると「この計算は設計のどの段階で行うものなのか?」と迷うことがあります。このような自分の為に整理したメモをこのシリーズで書いていきます。

この記事は第2章の内容を参考にしています。

目次

大まかな設計・製作の手順

機体の設計・製作は大まかに5つの段階に分けられます。
機体の大まかな設計・製作の順序
実際には詳細設計から概念設計まで戻って設計をやり直すこともあります。設計で導き出された数値が最初の要求を満たしていなければ、戻って計算のやり直しを行います。下図のように詳細設計から概念設計に戻る前に、各段階で計算のやり直しを行うと手戻りが少なく済みます。

概念設計

概念設計は飛ばしたい機体の要望や要求を基に、機体の仕様を言語化していく手順です。ここでは機体の外形(外観)が決まります。決まるのは外形が主ですが、この段階で決めた内容で初期設計や詳細設計、機体の運用方法や性能が決まります。

初期設計

この記事では初期設計と呼んでいますが、"Primary Design"にはもっと良い翻訳が有るかもしれません。この段階で行うのは、概念設計で決めた外形やより具体的になった要望を基に機体に関する数値を決めていきます。例えば翼面積やエンジンの馬力(ジェットやロケットエンジンの場合は推力)等です。
ここの数値を決める際には過去に製作された機体の情報を参考にする場合もあります。

詳細設計

詳細設計では初期設計で決めた内容を基に、機体の構成部品を設計します。主桁の荷重計算やフランジの計算、胴体外板厚さの計算等がここに該当します。

まとめ

今回の記事の要点をまとめると
  • 設計と製作の過程は大きく分けて5つに分けられる
  • 設計の各段階では計算のやり直し(計算を回すとも言う)を行う
  • 概念設計では、機体の要求を基に、機体の仕様を言語化
  • 初期設計では、概念設計を基に機体に関する数値を決める
  • 詳細設計では初期設計を基に、機体の構成部品をより細かく設計
次の記事では概念設計について説明します。

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