ワンオフで製作するラジコン飛行機用FRPカウル
ラジコン飛行機用FRPカウルの製作
山本さん (https://twitter.com/YukiYamamoto511)と一緒に設計した機体にカウルを付けることになったのですが、そのカウルをFRPで製作したので過程を記載します。なお今回の製作はオス型とメス型を製作する方法でなく、ワンオフでオス型から製作する方法です。
目次
FRP製作に必要な材料の入手
FRPで何か製作するのは手間だと思いがちですが、材料と作業場所さえ揃えばそこまで難しくはありません。必要な材料や道具に関しては以下の通り。大体はホームセンターで揃うと思います。
型の製作に必要な材料と道具
- スタイロフォーム
- 木工ボンド
- 割りばし
- 適当な木のブロック(2×4の切れ端でも可)
- 紙やすり
FRPの成形物に必要な材料
- FRP成形物用 手積用ポリエステル樹脂
- ポリエステル硬化剤
- FRP用離型剤 型製作用
- ガラス繊維(クロス、マット)
FRPの成形に必要な道具
- ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜる容器
- ハケ
- ローラー
- バケツ3つ
- アセトン
- 不要な段ボール
型の製作
成形物の形を決める型を製作する手順について説明します。
スタイロフォームの切り出し
具体的に大きさが決まっていない場合は、ブロックを機体に仮止めしつつブロックを切り出し、やすり掛けを行います。大きさが決まっている場合は、厚紙や木の板、アルミ板で型紙を製作して電熱カッターで切り出します。今回は大きさが決まっていたので、厚紙で型紙を切り出して電熱カッターで切り出し、やすりがけを行いました。
スタイロフォームの保護
スタイロフォームはポリエステル樹脂に溶かされるので、このまま積層すると狙い通りの形にはなりません。スタイロフォームが溶けないよう表面を何かで覆わなければなりません。今回は木工ボンドを選択しました。表面に木工ボンドを少量置き、指で薄く均して表面に膜を作ります。型の全面に塗ることを推奨します。
この方法は以下のサイトのやり方を参考にしました。
表面に木工ボンドを塗ったスタイロ型 |
型を台に載せる
※ここは自分が失敗した箇所であるので、「こうすればよかった」という覚え書きになります。
製作した型の上にガラス繊維を積層するのですが、型に何も支えがないと積層作業が非常にやりずらくなります。このため型を固定する台を製作します。適当な大きさの木ブロック(2×4の木材の切れ端でもいいかも)と割りばしを使います。ブロックに穴を開け割りばしを立てます。この割りばしの先に型を刺して型を固定します。ポンチ絵にすると以下のようになります。
私が「失敗した」点は土台を発泡材にした事です。土台まで樹脂が垂れないだろうと踏んで台を製作しましたが、積層中に溶けて型が積層中に動いてしまいました。
今回製作で使用した土台。 発泡材を土台に爪楊枝を立て、先っぽに型を突き刺した |
積層のやり方
製作した型にFRPマット、クロスを積層する方法について説明します。
離型剤の塗布
木工ボンドで表面を保護したスタイロ型に離型剤を塗ります。今回は固形タイプの離型剤を布を使って塗布しました。塗ってから2分程度経ってから別の乾いた布で表面を軽く撫でるようにふきます。これは余分な離型剤をふき取るのが目的です。(離型剤の容器には「乾いてからふき取る」とありますが、どのような状態が「乾いた」といえるかは分かりません)
上に示した
- 離型剤を塗布する
- 少しの間置く
- 余分な離型剤をふき取る
作業を4回繰り返します。繰り返し使用しているメス型の場合は2回で済みますが、初めて使用する型なのでこの回数が必要です。
この時離型剤を十分に塗っていないと、型の一部が成形物からとれなくなります。十分に瑠離型剤を塗っておきましょう。
樹脂の準備
ポリエステル樹脂と硬化剤の混合
ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜて、積層で使用する樹脂を作ります。混合割合は、ポリエステル樹脂の重さに対して硬化剤の重さで考えます。夏で1%、春と秋で1.5%、冬で2%がよいと何処かで聞きました。実際には気温と湿度で最適な比率が存在するようです。今回は室外気温が10度以下の冬であること、エアコンで暖房をつけた室内で硬化させるつもりだったので1.5%~2%の割合で混ぜました。
実際の混合
電子はかりの上に混合容器を置いて重さをゼロにセットし、ポリエステル樹脂を入れます。その後スポイト等で硬化剤をとり、少しづつ容器に滴下します。
樹脂の重さは硬化剤の重さを計算しやすい数値にするといいと思います。例えば2%硬化剤を入れる場合、ポリエステル樹脂が100gであれば、硬化剤はキリのよい2gとなります。
積層作業
ガラス繊維の切り出し
型の面に合わせてガラスクロスを切り出します。例えば型が長方形である場合は、各面よりも少しだけ大きく切り出しておきます。
ガラス繊維を型に積層する手順
混合した樹脂をハケで型に塗り、塗った面に切り出したガラス繊維を置きます。この時狙いの位置からずれない様に気を付けてください。置いたらその上からもう一度樹脂を塗ります。全体が薄く塗れたらローラー等で型と繊維の間の空気を抜きます。
積層の順番
ガラス繊維にはマットとクロスの2種類があります。型に接する最初の積層ではマットを積層します。その後の2層目はガラスクロスを積層します。今回は積層は2層でしたが、3層以上積層する場合も、マット→クロス→マット→クロス...の順に積層します。
2層目以降を積層する際、理想的には下の層が少し固くなってから積層のがよいです。しかし急いで積層する場合は、下の層の硬化熱(樹脂が硬化する際に発する熱)が大きくなる前に積層しましょう。熱が大きいとその部分だけ硬化が早くなるためです。
積層中の道具の扱い
ガラス繊維は主にハケとアルミローラーを使って積層するかと思います。(型が大きくなるとやわらかいローラーも使うこともあります)作業が進むにつれハケやローラーに樹脂が染みた繊維がからんできます。型に余分な繊維が付く前に、アセトンで洗い流すといいでしょう。やり方としては、ローラーやハケの先が浸る程度のにアセトンをバケツに入れて洗う方法があります。
成形物を型から離形
成形物が硬化したら離形に入ります。今回のようにワンオフで製作する場合、型を壊すような形で離形を行います。成形物からスタイロを掻き出すといった方がいいかも知れません。
成形物からスタイロ型を掻き出す様子 |
もっと参考になりそうなサイト
完全に備忘録なこのページより、参考になりそうなサイトを以下に示します。
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